M&Aの手法(株式公開買付け)

M&Aの手法(株式公開買付け)

日本においてはTOBと言うことが多い株式公開買付けは、企業買収や子会社化など、対象企業の経営権の取得を目的に実施することが一般的です。他には市場に流通する「自社の株式」(自己株式)を購入するために使われることもあります。簡単にいうと、ある株式会社の株式等の買付けを、「買付け期間・買取り株数・価格」を公告し、不特定多数の株主から株式市場外で株式等を買い集める制度のことです。

ニッポン放送とライブドアによる敵対的M&A

ニッポン放送とライブドアによる敵対的M&Aは有名ですよね。ここではニッポン放送とライブドアによる敵対的M&Aについてまとめてみました。

敵対的M&Aの始まり

1992年6月23日のフジテレビジョン株主総会で、1982年の三越社長だった岡田茂解任劇のように宏明も解任されるのではないかとの怪情報が流れます。宏明自身も自己に対する情勢が不利であることを認識しており自身の権力維持のため強硬な人事を行います。しかし1992年7月21日、グループを私物化し新聞を代表する者として不適任であるとの理由から羽佐間重彰・日枝久を中心とするクーデターが発生しました。産経新聞社取締役会にて突然会長職を解任されました。宏明は彼自身の私生活の問題から、大株主であった信隆の未亡人からも既に見放されていて、孤立無援になりました。翌7月22日、宏明は記者会見を開き、ニッポン放送、フジテレビジョン、サンケイビルの会長職とフジサンケイグループ議長を辞任すると自ら発表します。その後、取締役も辞任し、フジサンケイコーポレーションは解散。鹿内家のグループの経営支配は終わりを迎えました。

敵対的M&Aの経過(1)

その後しばらくは「鹿内家」が筆頭株主である状態が続き、資本的支配を示すがごとく株主総会に出席して睨みを効かせていました。1996年、ニッポン放送は東証二部に上場。フジテレビが上場する条件として親会社にあたるニッポン放送も上場の必要があったためですが、本当の目的は上場により鹿内家の持つニッポン放送の持株比率を低下させ、フジサンケイグループにおける鹿内家からの影響力を排除する事が目的でした。2005年1月4日、鹿内宏明夫妻は鹿内家一族名義で所有していた8.0%の株(のほとんど)を大和証券SMBCに売却しました。名実ともに鹿内家の支配は終了を迎えました。しかし、その後鹿内宏明夫妻が大和証券SMBCに対し、「売買契約に抵触する法令違反などがあったので、株式売買契約を解除し、株式の返還を求める」と主張する内容証明郵便を送付していた事が分かりました。

敵対的M&Aの経過(2)

フジテレビの筆頭株主は、グループ内のいち企業で総資産規模もはるかに小さいニッポン放送である、といういびつな構造はそのまま放置され、資本のねじれ現象が続いていました。フジサンケイグループは実質的にフジテレビを中心として運営されていくことになっていたので、ニッポン放送はフジサンケイグループによって運営され、そのフジサンケイグループはフジテレビが舵取りし、そのフジテレビの親会社がニッポン放送という、ちぐはぐな経営状態だったのです。この状況を是制すべく、上場後筆頭株主となった村上ファンド代表の村上世彰は、フジテレビと共同持株会社を設立して、両社をその事業子会社とする案を提示しました。しかし経営陣はフジテレビに対する第三者割り当てを実施し、まずはこれで資本構成の是正を図るとしました。

敵対的M&Aの経過(3)

その結果、一時筆頭株主がM&Aコンサルティング(16.6%) 、第2位「フジテレビ」(12.3%)となりました。2005年1月17日、鹿内家の株式放出の知らせを聞いたフジテレビ側は、村上ファンドの意を受けて50%超以上を占める筆頭株主になり、親子関係のねじれを解消することを目標に、同社発行済み株式を5,950円で買い付ける公開買付け(TOB)を発表しました。

会社経営のススメ

ライブドアの参入

堀江貴文率いるライブドアの子会社「ライブドア・パートナーズ」が700億円を投じ、2月8日午前8時すぎのわずか30分の間に、東京証券取引所の時間外取引で発行済み株式の29.5%を追加取得、ライブドアは取得済みの株式を加えて35%を占める事実上の筆頭株主となりました。その後もライブドアは過半数を目指し買い増しました。これを受け、フジテレビはTOBの目標を「25%超以上」に変更することでTOB成功を確実にさせ、ニッポン放送を媒介にしたライブドアからの間接支配を排除する方針を固めました。続く2月23日、ニッポン放送亀渕昭信社長とフジテレビの日枝久会長が共同記者会見を行い、ニッポン放送はフジテレビに対して4,720万株の新株予約権を発行すると発表。日枝は発行差止め申請が出された場合「受けて立つ」と宣言。仮に権利がすべて行使された場合、現在の発行済み株式の1.44倍の新株が生まれるため、ライブドア側がそれ以外の株をすべて買い集めてもニッポン放送はフジテレビの子会社になります。これに対して、翌2月24日、商法で禁じられた「(フジテレビによる)支配権の維持や争奪目的の新株発行」に当たるとして、ライブドアが新株予約権の発行を差し止める仮処分を東京地方裁判所に申請しました。

沿革

  • 3月2日、ニッポン放送社員会は、「堀江氏の一連の発言にはリスナー(聴取者)に対する愛情が感じられず、また責任のある放送や正確な報道についても理解しているとは思えず、ニッポン放送の資本構造を利用したいだけとしか映らない」という理由から、ライブドアの経営参画に反対する声明を発表した。
  • 3月7日、フジテレビのTOBが締め切られ、翌日のフジテレビによる発表では、TOBが成立しニッポン放送発行済み株式の36.47%を取得。これによりフジテレビはニッポン放送の商法の子会社の議決権規制と重要議決拒否権を確保した。しかしこの時点でフジテレビとライブドアの合計持ち株比率が発行済全株式の70%を越えており、これは、上位10社の合計出資比率が80%を越えると東京証券取引所の規定により1年間の猶予後に上場廃止、また90%を越えると即時上場廃止という規則により、ライブドアの株買い増しは同社にとって得策ではないとの意見もあった。
  • 3月9日、「新株予約権の発行によって既存株主が損害を被る」として、個人株主が東京地方裁判所に発行差し止めの申請を行ったことをニッポン放送が発表(後に取り下げ)。
  • 3月11日、東京地方裁判所はライブドアが申請していた新株予約権の発行差止めを認める仮処分を決定した。これを受けてライブドアは5億円を供託したため、最終的に上級審で覆されない限り新株予約権の発行はできなくなった。
  • 3月14日、ニッポン放送が子会社のポニーキャニオンなどの株式の売却を検討している(買収に対する防衛策の一つで、いわゆる「焦土作戦」と言われるもの)と報道される。
  • 3月16日、ライブドアの議決権比率が49.8%に達したと報じられる。これによりライブドアが経営に参画する可能性が高まってきたことから、開局以来労働組合の無いニッポン放送に労働組合が結成されるとも報じられる。また同日、3月11日に決定された東京地方裁判所の仮処分決定に対するニッポン放送の異議申し立てについて審尋が行われた。東京地方裁判所はニッポン放送の異議を退け、仮処分を認める決定を行った。ニッポン放送は即日で東京高等裁判所に対し抗告を行った。
  • 3月23日、東京高裁(裁判長は鬼頭季郎)は地裁の仮処分決定を支持、ニッポン放送の抗告を棄却した。これにより24日の新株発行は事実上不可能となり、ニッポン放送は新株予約権の発行を断念、記者会見で最高裁へ特別抗告を行わないと宣言した。また、ライブドアはフジテレビ株の取得を凍結する方針を固め、フジサンケイグループとの業務提携交渉を優先させると報じられた。
  • 3月24日、ソフトバンクグループの金融サービス会社であるソフトバンク・インベストメント(SBI/現・SBIホールディングス)とニッポン放送、フジテレビの3社が、メディア・通信分野などの新興企業に投資するベンチャーキャピタルファンドを共同出資で設立することと、これに伴う関係強化を名目に、ニッポン放送が所有するフジテレビ株(発行済み株式の13.88%)をSBIに貸し出すことを発表した。これにより、すでに大和証券SMBCに貸し出している株式8.63%と合わせ、ニッポン放送が所有するフジテレビ株は0%となり、ライブドアのフジテレビへの間接支配に対する防御策であったと考えられる。
  • 4月18日、ライブドアとフジテレビが和解し、両者が業務提携するとともに、ライブドアグループが所有するニッポン放送株全てをフジテレビに譲渡し、フジテレビがライブドアに出資すると発表。

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