M&Aの手法(株式譲渡)

M&Aの手法(株式譲渡)

経営者にとって、「事業の継続」、「社員の雇用」、「取引先との関係維持」は重大な関心事です。経営者として引退する時期を迎えるにあたり、親族や役員・社員に託すことが難しい場合、事業を「第三者に託すこと」、すなわち「M&Aによる企業譲渡・事業譲渡」という方法をとるケースが最近ますます増加しています。経営者の引退で社員が路頭に迷うことなく、事業が継続できるからです。株式の譲渡は会社法第二編第二章第三節において「株式の譲渡等」として規律される株式を取引行為によって譲渡することです。同法第二編第二章第四節の規律する株式会社による自己の株式の取得とは異なる概念です。会社や事業の譲渡は従業員や取引先に与える影響が大きく、非常にデリケートなものであることは間違いありません。会社(事業)の譲渡の手順や情報の開示の方法により、成功するはずのM&Aが失敗に終わってしまうことも多数あります。

事業譲渡(事業の一部譲渡)のメリット

会社の事業を全て譲渡してしまうのではなく、一部の事業を譲渡する方法もあります。「選択と集中」により優先度の低い事業を譲渡することにより、経営資源を強化したい事業に振り向けて経営基盤を強化できます。また、競争が激しい事業を譲渡して第三者に任せ、自身は不動産賃貸などの安定収益が見込める事業に特化し、悠々自適な生活を送ることもできます。

会社経営のススメ

譲渡承認請求の手続き(1)

(1)譲渡制限株式の株主は、その有する株式を他人に譲り渡そうとするときは、会社に対し、その株数、譲受人の氏名・名称、指定買取人の買取請求等を明示して、これを承認するか否かの決定を請求することができます(第136条)。株式取得者は、原則として株主又はその相続人等と共同して、会社に対して、その株数、株式取得者の氏名・名称、指定買取人の買取請求等を明示して、これを承認するか否かの決定を請求することができます(第137条)。

(2)会社は、譲渡承認の請求を受けたときは、2週間以内に(第145条、1号)、株主総会又は取締役会(取締役会設置会社)においてこれを承認するか否かの決議をして、且つ、これを譲渡等承認請求者に通知しなければなりません(第139条)。

(3)会社は、この譲渡を承認しない旨を決定したときは、会社自身でこの株式を買い取るか、又は買取人を指定しなければなりません(第140条)。この場合、会社自身で株式を買い取るときはその旨及び買い取る株式数を株主総会で決議し、又、買取人を指定するときは定款に定めがなければ株主総会または取締役会設置会社では取締役会で決議しなければなりません。

(4)会社が株式を買い取るときは会社は40日以内に、又、買取人を指定したときは指定買取人は10日以内に、各その旨及び株式数を承認請求者に通知しなければなりません(第141条1項、第142条1項)。

(5)会社又は指定買取人は、上記通知をしようとするときは、会社の1株当たり純資産額として会社法施行規則第25条により算定された額に株式数を乗じた額を、本店所在地の供託所に供託しその書面を承認請求者に交付しなければなりません(第141条2項、第142条2項)。

(6)対象株式が株券発行会社の株式である場合には、承認請求者は、前記供託の交付を受けた日から1週間以内に、株券を供託し、遅滞なくその旨を会社又は指定買取人に通知しなければなりません(第141条3項、第142条3項)。そして、承認請求者が期間以内にこの株券の供託をしなかったときは、会社又は指定買取人は対象株式の売買契約を解除することができます(第141条4項、142条4項)。

(7)会社は、原則として、次の場合には株式の譲渡を承認したものとみなされます(第145条)。

会社が譲渡承認請求の日から2週間(定款でこれを下回る期間を定めること可)以内にこれを承認するか否かの通知をしなかったとき。

会社が承認しない旨の通知をしてから10日以内(定款でこれを下回る期間を定めること可)に指定買取人が買取る旨の通知をせず、且つ、40日以内(定款-同)に会社自身が買取る旨の通知をしなかったとき。

会社が前記(5)の各所定の書面を交付しなかったとき、承認請求者が会社又は指定買取人との売買契約を解除したとき(会社法施行規則第26条)。

譲渡承認請求の手続き(2)

売買価格の決定

(1)会社は、会社自身が株式を買い取る旨又は指定買取人を承認請求者に通知したときは、その通知の日から20日以内にその株式の売買価格を会社又は指定買取人と承認請求者との協議によってこれを定めるものとします(第144条1項)。

(2)会社又は指定買取人又は承認請求者は、この20日以内に、裁判所に対して株式の売買価格の決定の申立てをすることができます(同条2項)。

(3)裁判所は、株式の売買価格の決定をするには、承認請求時における会社の資産状態その他一切の事情を考慮しなければなりません(同条3項)。

(4)上記(2)記載の期間内に同申立てがないときは、純資産額を基準として供託された金額をもって株式の売買価格とされます(同条5項)。

会社譲渡・事業譲渡をスムーズに行うためには?

会社譲渡・事業譲渡をスムーズに行うためにはM&A仲介会社選びが重要です。M&A仲介会社選びのポイントは、以下の5点です。

(1)事業の適切な譲渡先を紹介できるM&A情報ネットワークがある

(2)会社と社長様個人をよく理解して親身に相談にのってくれる

(3)経験と実績がありM&Aの成功のコツを知っている

(4)仲介料が成功報酬で初期負担が軽い

(5)「この仲介会社が紹介する会社なら安心」と買い手からも信頼される仲介会社である

株式の質入れ

会社法147条1項で「株式質入の会社及び第三者への対抗要件は、株主名簿に記載する事」と規定していますが、147条2項では「前項の規定にかかわらず、株券発行会社の~」とありますから、1項でそのように規定していても、「株券発行会社」では、1項とは関係なく、「当該株券の継続占有」を会社及び第三者への対抗要件とする旨規定している、と読むことが出来ます。整理すると、質権の対抗要件は会社・第三者どちらに対しても、下記の通りです。

(1)株券を発行していない会社は、株主名簿への記載。

(2)株券発行会社では、株券の継続占有。

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