M&A

M&A(エムアンドエー)とは「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」の略です。つまりM&Aの意味は、企業の合併買収のことで、2つ以上の会社が一つになったり(合併)、ある会社が他の会社を買ったりすること(買収)です。M&Aは新規事業や市場への参入、企業グループの再編、事業統合、経営が不振な企業の救済などを目的として実施されます。M&Aの意味として、一般的には企業の合併・買収だけでなく、広く提携までを含める場合もあります。ちなみにM&Aは、英語の mergers and acquisitions(合併と買収)の略なんですよ。

M&Aの概念

M&Aという場合には利用する手段のデザインを含めた企業戦略を把握する概念として用いられることが多いです。M&Aは、日本法上の概念としては合併・会社分割・株式交換・株式移転・株式公開買付などの法的要素が核となりますが、これらの各要素は対象企業のコントロールを得る手段として捉えられています。

M&Aの特徴

日本のM&Aは譲渡及び譲り受け企業からの両方から手数料を徴収する事が特徴です。日本でM&Aというと大企業のものというイメージを持っている人が多いのだが、実際は日本のM&Aの70%は中小企業を対象にしたものといわれているともいわれています。国内では中小企業の後継者問題などで特にM&Aが用いられています。企業の買収合併は年々増加傾向にあり、その目的は様々ですが、主な目的は国内・国外における競争力の強化や国外進出を容易にするためなど国際的なマーケット拡大に伴う生存競争と事業拡大のために用いられ、規模も拡大傾向にあります。

M&Aの概要

譲渡企業オーナーも事前に知らされていない場合も多く、行政も黙認している様子で司法の判断が待たれます。またスーパーマーケットやコンビニエンスストアといった小売大手、食品、銀行、情報通信、アパレル、製紙などで大型の事業再編・M&Aなどが盛んに行われています。最近ではWebサイトの売買をM&Aと称してサイトM&Aという名称で行われているようですが、これは会社のM&Aとはまったく異なり、実際のM&Aとは別物です。

M&Aと社員

M&Aで最も難しいのが社員への開示です。M&Aは秘密保持が基本ですから、通常成約にいたるまでは社員に公表していません。しかし、会社がM&Aにより譲渡されたことを譲渡企業の幹部社員などが「新聞ではじめて知った!」というような事にならない様に配慮する必要があります。中小中堅企業の幹部社員というのは「俺は創業社長について来た」、「創業社長の生き様や背中が大好きでついて来た」、「昔助けてもらったからついて来た」、という人が多いわけですから、ディスクローズの方法如何によっては社員の今後の士気に重大な影響を与えてしまいます。従いまして、正式契約の直後に幹部社員への開示と根回し、そして一般社員への発表を上手に行わなければなりません。社員へのディスクローズが難しいのはやり直しがきかないからです。今までの創業社長に対する思い、寂しさ、不満、信頼感、不信感などが噴出します。これらを上手くコントロールして前向きのムードにもって行くのは経験豊かな仲介者の役割なくしては難しいと思われます。

対応

社員は買い手企業の熱意、ビジョンを聞くことによって安心して喜んでついて来ます。M&Aには、デューデリジェンス、契約式など重要なテーマが目白押しですが、忙しさにかまけて社員や幹部への開示を疎かにすると最も憂慮すべき事態を招いてしまいます。ここは売り手企業経営者・買い手企業経営者・仲介者が全神経を集中して慎重かつ大胆に取り組むべきだといえるでしょう。

M&A(会社譲渡)でどうなるのか

会社譲渡後の代表者や従業員の処遇等は通常以下のようになります。

(1)代表者の処遇
M&Aで会社を譲渡すると、経営権が買い手企業に移ります。その際、譲渡企業の代表取締役は退任し、譲受け企業から新たな代表取締役や役員が派遣されてくるケースが多いようです。この場合、退任される代表取締役についてはそのままリタイアという場合もありますが、スムーズな引継ぎのために代表権のない会長や相談役、顧問といった役職で当面の間(期間は両者の協議による)会社にとどまり、引継ぎが完了した時に退職するというパターンが多いようです。一方で、大手企業の傘下に入った後も代表者の地位にとどまり、譲受け企業の経営資源を活用することにより成長を加速させている代表者の方も少なくありません。
(2)連帯保証・担保提供
中堅中小企業においては、オーナー社長が会社債務について個人保証していたり、個人資産を借入金の担保に提供していることが多く見受けられます。第三者へのM&Aに伴って経営権が移動する場合には、オーナー社長の個人保証や個人資産の担保提供は解除されるのが一般的です。
(3)従業員の処遇
全員引き継がれ、処遇も当面の間は従来通りというケースが一般的です。友好的なM&Aにおいては、従業員の士気を落とさないような形で会社を引き継ぐことが大事です。したがって、M&A後すぐに大幅な人員削減をしたり、給与水準を切り下げたりということはほとんどありません。
(4)会社名
譲渡企業の会社名もそのまま継続するケースが一般的です。従業員や取引先が混乱しないために社名を継続する方が有効な場合が多いからです。ただし、譲受け企業のグループ企業であることを会社名の中に示した方が会社の成長に役立つケースもあります。M&A時の契約で社名を今後どのようにするのかについて取り決めておけば納得できる方法がとられるでしょう。

M&Aのメリット(会社譲渡の場合)

中堅中小企業のM&A(株式譲渡)のメリットは、主に以下の3つです。

(1)創業者利潤の実現ができる

創業者利潤を実現させるためには「(1)株式公開」「(2)会社の売却」「(3)廃業・清算」のいずれかをすることになります。一般に、「(1)株式公開」は成長のプレッシャーや内部管理体制の強化など実現のハードルが高く、実現は国内でも数十社です。また、「(3)廃業・清算」の場合、資産の処分価格は低く抑えられるとともに、会社の資産処分と株主への配当に対して二重の税負担が必要になり、手取金額が少なくなります。このため、「(2)会社の売却」はオーナー社長にとって創業者利潤を実現する有力な方法であると同時に、築き上げてきた企業が存続していくという精神的な充実感につながるハッピーリタイアを可能にします。

(2)企業の存続と発展を実現し、社員に希望を与える

経営について先行き不安がある場合にもM&Aは有効な手段となります。M&Aで上場企業等経営資源の豊富な企業のグループに加わることにより、販路の拡大・円滑な資金調達など、自社の弱点を補うことができ、企業体質の強化が可能です。また、自社が得意とする分野に経営資源を集中させるために、戦略的にノンコア(非主力)事業を分離することで企業の体質強化を実現できます。

(3)事業承継問題を解決できる

後継者不在の事業承継問題を内在する中小企業は約50%にのぼります。後継者が見つからずに廃業して会社を清算すれば、商圏・技術・ノウハウがすべて無に帰してしまうばかりか、従業員の雇用や取引先への影響も深刻です。また、無理に子息に継がせて事業に失敗すれば、「継がす不幸」になります。友好的なM&Aにより、この問題を解決することが可能です。

M&Aのメリット(会社譲渡の場合)

会社譲渡のメリットは、「時間をリスク少なく買える」ことです。すなわち、会社の譲渡は「必要な顧客、販売拠点、人材、ノウハウなどを一括して取得できる」手段です。この方法は収益がすぐに見込め、ゼロから事業を立ち上げる場合と比較して、時間とリスクがはるかに少なくてすむといえます。

M&Aの注意点(会社を買う場合)

買収監査によるリスクの確定

買い手企業は買収するにあたって、リスクの所在と大きさを確定できないと安心して買収に踏み切ることができません。リスクの確定ができなければ、万が一問題が起きたときの対応策や賠償問題を最終契約書に記載することもできません。買収監査(デューデリジェンス)を通じて「リスクの洗い出しを行う」ことが大切です。代表的なリスクは下記のとおりです。

保証債務:会社として他社の連帯保証をしている

簿外債務:決算書に載っていない債務がある

税務リスク:業績のいい企業はグレーな節税を行っている場合もある

瑕疵:リコール問題、ソフトウエアトラブル等

贈収賄:公的機関との取引などがメインの場合特に

公害問題:土壌汚染、空気汚染、産業廃棄物などの可能性

人材流出:人が辞めるリスク

背任行為:経理部長の横領、購買担当者の業者癒着など

これらのリスクは、各企業ごとにまちまちで、買収監査のウエイトや方法も対象企業ごとに変える必要があります。たとえば、土壌汚染に関してはいくら優秀な公認会計士が時間をかけても発見できるような性格のものではないため、土壌汚染のリスクが高い企業に関しては、土壌調査の専門家による調査が必要となります。

M&Aの譲渡対価

会社をM&Aにより譲渡した場合、純資産価額に営業権をつけた価額で通常取引されます。営業権は業種にもよりますが、税引後利益の3年から5年分が目安です。税引後利益が25百万円でその4年分が営業権とした場合、M&Aによる譲渡株式の価値は2億円(時価純資産1億円+営業権1億円)となります。M&Aが成立すれば株主には2億円が入り、社長の借入金に対する個人の債務保証や担保提供をはずしてもらうことができます。

M&Aと事業承継

事業承継とは、会社の経営を後継者に引き継ぐことをいいます。中堅中小企業にとって、オーナー社長の経営手腕が会社の強みや存立基盤そのものになっていることが非常に多く、そのオーナー社長が「誰」を後継者にして引き継いでいくのかは慎重に判断すべきです。誰に事業を承継(引継ぎ)するのかにはついては、大きく3通りの方法があります。

M&Aで承継する

親族に承継する

従業員等に承継する

事業承継の承継者の傾向

一般的に事業承継の検討をする場合には親族承継、社員等による承継から検討され、M&Aによる承継は想定さえされていないケースも多いと思われます。子供が引き継いでくれることを願うあまり、ご子息は継いでくれるものと思い込んでしまう一方、ご子息は全く別のことを考えているということもよくあります。ご子息に継がせることをご希望される経営者の方が多いのは事実です。しかし、ご子息の希望や経営者としての適性を十分に考慮し、後継者を決定することが重要になっています。20年以上前には9割を占めていた親族内承継は6割を切り、従業員等やM&Aでの親族外承継が急速に増加しているといわれています。親族外承継の候補者はオーナーが考えるほど簡単ではないケースが多くなっています。従って、意中の役員・社員が事業承継できないケースも想定し、その場合に備えてM&Aに移行するシナリオも準備しておく必要があります。